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港のキリンこと「ガントリークレーン」清水港のガントリークレーンは、なぜ青い?日本ではじめて実現した青いガントリークレーン

ガントリークレーンって知ってますか?

ガントリークレーンは、船にコンテナなどの貨物の積み卸しを行うため岸壁に設置される荷役機械のことです。

ガントリークレーンってどのくらい高い?なぜ赤・白のガントリークレーンが多いの?

このガントリークレーンの高さは、船の大型化に伴い、近年、70〜105mに達するまでになっており、これは地上30階の超高層タワーマンションと同等です。

高さ60メートル以上の煙突・鉄塔・骨組構造などの構造物や、航空機の航行の安全に影響を及ぼすと思われる物件などは航空法が適用され、設置する色は、赤、または黄赤(インターナショナルオレンジ)と白に塗り分けられます。このため、一般的なガントリークレーンは赤、白のものが多いです。

平成3年、清水港の興津・袖師埠頭には、赤白塗装の6基のガントリークレーンが設置されていました。

当時は、パッ見が真っ赤な港の印象ですよね、

清水港のガントリークレーンは、どこがすごいの?清水港のガントリークレーンの色のコンセプト

観光百選の1位に選ばれた日本平から見える風景に富士山を調和させることを目指して清水港の色彩計画を策定しました。

この計画には、借景という考え方を取り入れました。借景とは、日本庭園や中国庭園における造園技法のひとつであり、「庭園の構成に背景景観を取り入れる」伝統的な東アジアのガーデンデザインの考え方です。

しかし、赤・白に塗装されたガントリークレーンは、調和を崩すほど色が強すぎました。

色彩計画策定(平成3年度)後、コンテナ専用船を停泊させ荷役などを行う場所の周辺を調査してみると、ガントリークレーンの高さよりもはるかに高い丘陵地帯が、2km圏内であるため、航空法による高度制限に抵触しないことがわかり、東京航空局に再度申請をいたしました。

平成5年、東京航空局から航空法規制を解除する通知があり、調和をコンセプトに配色したガントリークレーンが袖師埠頭4号の塗替を皮切りに、誕生することとなりました。

清水港の24時間体制による港湾荷役や荷役作業での汚れ防止、維持・管理のコンセプトから、シンボルカラーとしてホワイト(N9.5)とアクアブルー(10B7/8)の配色が決定。

全国初、赤・白塗装ではない清水港のガントリークレーン。ガントリークレーンの色の効果

全国初、赤・白塗装を使用しない、洗練された配色デザインのガントリークレーンの誕生でした。塗替え費用は、1基おおよそ3,500万円と高額であることから、綿密なタイムテーブルを組み、計画的に塗替えが行われ、平成8年までに6基全基の新設及び塗替えが完了しました。

ガントリークレーンの赤・白塗装からの塗替えは全国初めての取組であり、ホワイト(N9.5)を基調としたクレーンは、その意味通りに鶴(crane)のように洗練された美しい姿をしております。

クレーンのホワイト(N9 .5)とコンテナの赤、青、緑と色彩のコントラストは、荷役作業をより活動的に見せる効果を生み出しています。